終の棲家をつくるということ


埋蔵文化財届けの許可や補助金申請で遅れていた

多気郡M邸あらため、明和町M邸がスタートしました。















M邸のクライアントは70代で、いわゆる終の棲家の設計をさせていただきました。


M邸のご主人は、日に日に視力が衰えていく目の病をお持ちで

視力を失っていく人に対してどのような住まいがベストなのだろうか、、、と

提案に悩む難しいプロジェクトでしたが、

視力が衰えていく中でも最後まで認識できるであろう光の力で

自分の居場所、場所の記憶が残せるのではと考えました。


LDKの中心に向かって勾配をとり、上部にトップライトを設置し、光を壁に反射させ光の柱をつくります。

これにより自身が立っている位置が分かり、最後まで場所が認識できるのではと考えています。。



もうひとつ、思考をめぐらす中でテーマとなったのが死生観です。

ヒントとなったのはエル・グレコの宗教画「オルガス伯の埋葬」です。






















この絵から感じる死生観と、自然と視線を見上げてしまうような上昇性が

LDKの光の柱と呼応するような感覚を持ったのです。


語弊を恐れず言葉にするなら、この光の柱の下が、死に場所なのです。。


今回は私にはめずらしく、コンセプト先行型で推し進めたプロジェクトですが

見ごたえのある空間になると確信しています。

9月末にはオープンハウスできればと思っています。。。